雨の一滴/小林 柳
 
ガラスの向こうで雨は
規則的に降り続いていた

ベランダの花を
静かにたたいていたのは
儚さに惹かれた空の
答えのない 問いかけだったのだろう

いくつも落ちてくる雨粒

空から僕を訪ねる
いくつもの魂

見上げる僕の視線と
いつか別れてしまった人々は
会えないまま

時は過ぎてゆく





灰色のプラットフォーム

広がる重い雲の下で
何度も列車を見送った

線路の上 遠くなる最終車両
目的地は 空白のまま

明日には僕も
そこへ向かうのかもしれない

いつの間にか駅には
また人が溢れていく


雨は相変わらず
今も降り続いている





雨粒や 人の命の 落つるなり


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