雨の一滴/小林 柳
ガラスの向こうで雨は
規則的に降り続いていた
ベランダの花を
静かにたたいていたのは
儚さに惹かれた空の
答えのない 問いかけだったのだろう
いくつも落ちてくる雨粒
空から僕を訪ねる
いくつもの魂
見上げる僕の視線と
いつか別れてしまった人々は
会えないまま
時は過ぎてゆく
*
灰色のプラットフォーム
広がる重い雲の下で
何度も列車を見送った
線路の上 遠くなる最終車両
目的地は 空白のまま
明日には僕も
そこへ向かうのかもしれない
いつの間にか駅には
また人が溢れていく
雨は相変わらず
今も降り続いている
*
雨粒や 人の命の 落つるなり
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