電灯の影/しべ
 
ひとり雨宿りです

赤い花が土蔵の横で
それと
桜の枝が薄墨の僕に重なります

やわらかな空は髪をつまんで
小さな歌と
如雨露のような雨粒で
この気ままな世界に居すわりました

ずっと瓦屋根の下
僕は電信柱に手を添えながら
傾く街の湿気に酔っています

古いテレビが野球を見てますが
この目は空ばかり眺めて
雲の切れ間を気にしてました

それからしばらくして
台風がやってくると知ったのです

戻る   Point(3)