「かくれんぼ」(妹)/月乃助
 
……なな〜つ、
   や〜っつ、
    ここの〜つ、とお〜
 
どこに隠れようとも
ひとたび
目をひらけば
あたしは 心のいやしい 鬼 
だ から
ようしゃは しない 
 
銀杏の陰/すべり台の下/痴漢に注意の看板 の向こう

たった ふたりだけの わらべ遊び

「みっけ」の声に、
妹は、きまって足に小石をけって 一度は残念な顔
すぐに 笑ってあたしに とびつく
おかしくて
勝って 少しばかりの偉い姉の手を のばし
妹の 頭をなでてやる
かくれんぼ

思い出にかくれた 妹は 美しいまま
遊びは、 
えんえん 終わらず
いつまでも はてまでも

[次のページ]
戻る   Point(6)