桃太郎/竜門勇気
 
ばあさんの目前に姿を現すのです。
当然、いかなる自然も過去の姿を失ったであろう世界で旧世界の遺物を流れるに任せ失うようなへまをおばあさんはしません。
なぜなら、このような変化を見落とせばそれは即、命を落とすようなそんな危険な環境に身を置いてきたからです。
危険がないならば、それは利用可能な暮らしの糧。そんな気持ちが食料を不要とする二人のなかにあったのかもしれません。
もちろん、人体で合成されるビタミンDがそのまま活動に用いられるカロリーになるわけではありませんし、芝刈りや洗濯に赴く二人の体が何かしらの蛋白源を得ていたとしても、不思議はありません。
しかし、巨大な桃を運ぶのは容易ではありま
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