透明な傘/こめ
揺れる花は荒野に一輪だけ
その上で流れた一線の流れ星
空間は穏やかに過ごしていた
まだまだ口にだしていない言葉は
たくさんあるけれど
それもこの花が枯れる時には言えるだろう
透明な傘を日傘替わりにして街をあるく
当たり前の用に何人かの人間が
僕を忘れているだろう
記憶とは薄いインクで描かれた絵画のようだ
ゆらゆらゆれてふらふら積もる
僕はいたって普通に
君の再生方法を見付けたけれど
それでも贅沢だと言うことを噛み締めた
強い風に巻き上げられた
枯れ葉は辛くてみていられなかったよ
何年も土に潜ってじっとしていて
そしてやっと空を羽ばたけるのは
たった一週間しかなかった
それでも飛ぶことを望むのは何故だろう
死ぬ前に最後に空に会いたかったのだろうか
しかし僕はセミじゃあないから分からなかったけれど
これだけは言えた
今日も空は綺麗です
と
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