「ヴィヨンの妻」太宰治/小川 葉
 
衝撃として、
今もわたしの精神の源になっている。

あれから五年になる。今が、わたし自身の「ヴィヨンの妻」のその後、
なのだとしたら、また時々読みたくもなり、
今も手の届くところにある。

時々冗談めかして妻に言う。
ヴィヨンの妻はあなたで、大谷と言う詩人もここにいる。
(笑)でしめくくって、冗談にしていたいけれども、
「ヴィヨンの妻」という太宰の背景に、戦争があったなら、
現代は、戦争を経済に置き換えればわかりやすい、
そんなふうに今読むべき、読まれるべき作品であるのだから、
映画化され、映画祭でも最優秀賞を得ることが出来たのかもしれない。

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