スタジアムの夢/月乃助
 
るものは、息をきらして駆け続け 手にし
あるものは、休み なみだをながして あきらめるのです

スタジアムはそれをみながら
終わることのない 優しいねぎらいの風の音をかけ、
小さな選手達の姿を見続け
年老いたそれは、おなじほどに旧い町の 
数限りない幼い選手たちを心にとどめ
そのひとりだに、忘れることはないのです

それがために、
どんなに 風の冷たい日にでも おとなになり
ここにたった子供たちが、スタジアムに戻ってくれば
思い出という、子供時代の温かな懐かしさを手にし
老いた彼の腕のなかに、追いかけた夢を
いまいちど見ることができるのです

変わらずに ピッチをはしる
やんちゃな 今よりはるかに元気な
自らの姿を そこに
垣間見ながら



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