ハタチ女の憂鬱/ゆるこ
雨水だろうか
どろんどろんにまみれた、衣服を引きずる汚い黄土色だろうか
(ここまで考えたときに気づく)
(きれいなものに例えようとする自分の愚かさに)
踏み切りのカンカンの赤が眩しくて両手で覆った
黄色い発泡酒がきれいに零れて、夕日をはねた
ナメクジの通り道みたいに、それはてらてらと反射して私を憂う
汗でぬめった体を、なんとなく抱いてやった
*
家に着くころには幾分飽和も落ち着いて、いて
私はサンダルを指に引っ掛けて夕日へ投げつけた
鉛色の雲はどこへ飛んだのだろうか
ごうごうと燃える夕日が、心臓を焼いていった
戻る 編 削 Point(8)