夜、不安になって/小林 柳
 
新しい日
未来は浮かんでこない
過去はまた遠ざかって
一人戸惑っている

悪い予感
いつもより夜が濃くて
ぎこちなさが肌に触れる
半分の月
変わることはない

変わらないもの 変わっていないもの
鳴り続ける音
なす術もなく目をこらす


理由はなく 疑問はあってはならない
新しい日は巡ってくる

凍った湖に石を投げる
すると
進む時計
沈んでゆく月
止まる鉛筆
とめどない予測
ありふれた答え


世界を通る
一筋の細い線が見える
ほら すぐそこにも

かすかにねじれた
なめらかな矛盾
指でなぞれば
自然な感触を残す

どこかから
失われた匂い
懐かしい響きが流れてくる
次第にかすかになる

残された思いは
わずかに傷ついている
真っ暗闇の中で
何も変わってはいない
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