三越の木馬/月乃助
 

ひるがえす スカートのすそ
小さな手にふれる空の 麦藁帽子の屋上に
木馬の 陽に照らされた背をさらし
 
 夏が焼かれ 逝く、

都心に生まれ育つ/育った
故郷という 基点を持つことのない親と子
おそろいにシャボンの浮き立つ 水たま模様のワンピースで、
公園に行くように 近接に降り立つ R階

はてなく あてもなく広がる 
模型のような街からは、山河の想い
単色の起伏の厚い層をなし
走り抜ける
蹂躙する高架の道のあやとる循環

TOkyOのビルの穂波を うす笑う、
川のせせらぎは、高速を行きかう車のにぶき 耳鳴り
幾重ものビルは、ガラスの山色を谷間にふきあ
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