盆がすぎ、まだ青々と立つ稲の 鈴花が まだ咲かぬのかと歯軋りする歯は黄色く毀れ 甘みが乗らなかった梨の実をもぎ 浅く掘った穴に震える足で踏みつけていく 「来年はがんばれよ」 と 呟きながら 鍬の刃を継ぎかえる楔 打つ腹に力が入らない 雑木草はかわらず繁茂し 空なお高く 雲白く 風飄々と通り抜け 野分け後、赤く染まった夕日を見るにつけ 「まだ大丈夫だろ」 と 呟きながら 今年は豆を4回に分けて蒔いた 「きっとどれかは おてんとさんに合っとる」 と 呟きながら