夏ノ朝ノ一時/酸素の枷
 
夏の朝
少女に出会いました

「何をしてるの?」
「数えているの」

マンションの出口から見えた光景は
暑い日射しの中で
少女が両手の指を曲げている所
青いリボンの付いた麦わら帽子は
下を向いていました

「何を?」
「大事な事」

小さい指は何回も曲げたり伸ばしたりを繰り返し
何をしているのでしょうか
それと、あまり少女からは
夏の日射しの中でも暑さが感じられません

「暑くない?良かったらマンションの中に入りなよ」
「大丈夫、もうすぐだから」

僕は
素敵な夏の暑い日に
素敵な少女が日射しを浴びて
指を曲げたり伸ばしたりしている光景に
見入
[次のページ]
戻る   Point(1)