ドリームハイツ行きのバスに乗って /服部 剛
 
駅のホームから
見上げた丘の絶壁に 
ひとりの向日葵(ひまわり)はまっすぐに立ち 
遠くから僕へ 
小さい太陽を咲かせていた 


  * 


昨晩、不思議な夢を見た 

照明灯に照らされた
舞台の闇に 
向日葵の姿をした友が 
背骨の茎を圧(へ)し折られ 
蹲(うずくま)っている 

「 何も言うことなんかない、 
  這い上がるんだ・・・  」
音の無い声援を贈れば 
「 お前もな・・・ 」
と切り返す太陽の顔をした友の 
元気な頃のニヒルな声が 
無人の観客席に木魂(こだま)して、目が覚めた

蜩(ひぐらし)の合唱が山々に響いていた 


  * 


額に汗を滲ませ、バス停に突っ立っていたら 
「 ドリームハイツ行 」のバスが来て 
( 夢の家への旅・・・ ) 
こころの声で呟いて 
いつもと変わらないバスに、乗り込んだ 







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