(輪郭)/ことこ
 
(輪郭)

こんこんと湧き上がる花の火の
みみへ伝わる振動が
つれてゆく
うまれたての湖の静寂

くちびるの隙間から
こぼれてゆく言の葉が
切りとるいっしゅんは
つめたい石に閉じ込めて

ねむたいの、ねむりたいの
子守唄をきかせて


(波紋)

レモン色の舌でわらう
月がまるい
まるすぎて
かぶりついた子どもの歯型が
なみうって残ります


(薄氷)

規則ただしい音程で
進んでゆく
ティンパニの夜明け

欠けることで保つ
シンメトリーの朝顔

アスファルトだけが
なんどでも緩んで
蒸発する
白昼を迎える
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