俺の手を触ってよ/
愛の嗚咽
生きることに疲れたっていいじゃない
私だって忙しくてたいへんなの
母は困ったように笑って机を叩いた
俺を産んでくれたのは彼女だ
母子手帳を見たらそう書いてあったし
父も彼女しか愛していない
本当に確かなものとして
僕の体には彼女と同じ数だけ黒子がある
鼻に、小指の付け根に
それだけを僕は信じている
どうしてかはわからないけど
いいんだ
僕を愛してくれた
僕がひたすら愛した
最愛の彼女、おやすみ
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