B29/山崎 風雅
目を刺すような光
烈しい熱風
体中が針で刺されたような鋭い痛み
何が起こったのか分からない
さっきまでのいつもの日常が生活が人生が
まったく変わり果てていた
焼け果てた瓦礫の下に女房が丸焦げになって
哀れな姿に変わり果てていた
大切なもの総てを奪われ
私は爛れた皮膚を引きずりながら焼け野原で
空を見上げた
取り返しのつかないことがこの世には
思った以上にすぐ傍らにある
ここにある健気な生命の真実
儚く切なく奇跡的な毎日をもっと大事にすれば良かった
もっとあいつを愛してやれば良かった
後悔できたのは
息が出来なくなるまでの刹那だった
戻る 編 削 Point(7)