眠る図書館/衿野果歩
 
静寂は痛みを内包する
そう教えてくれた君の
頁をめくる指先を
真剣な横顔を

心の底に沈めて
眠らせる記憶

らせん階段を登り
3階のキャレルへ
君の残り香を探す
八月の図書館


開かれることなく
書架に眠る物語は
沈めた記憶と同じ

伸ばされるその手を
再び求められる日を
ただ黙って待っている

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