詩人達の夜明け /服部 剛
たってもいられずに
無人の家のドアを開け
高鳴る鼓動に包まれながら歩いていった
夜明け前の海で
浜辺に独り、膝を抱える
耳に入れたイヤフォンから
「ボクニハデキナイ」
と繰り返す唄を聴けば
夜明け前の波は幾重にも
この胸の内に、打ち寄せる・・・
そうして僕は
それぞれの友を
沈黙したまま見守るように
日々の労働さえも、突き破る
たったひとつの詩という、うたを
奏でる僕等のコーラスを
いつまでも
夢に見ている
僕は僕の明日という
物語の中心へ
突入して往く為に
ブルースの碧い炎の燃えている
胸にそっと手をあてる
夜明け前
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