寅さん、語る。 /服部 剛
きみは東京という街にやってきて
やがてセンスを身につけるだろう
流行りの服を身に纏い
流行りの帽子をかぶり
そして
流行りの店で可愛娘ちゃんと食事する
しかしだな
センスって一体なんだ?
夏に手にして仰ぐアレか?
東京であれ故郷であれ
自らの花を一輪
自分という体の花瓶の上に
にこりと顔を咲かせるのが
人間のせんすってもんじゃないか?
( お兄ちゃん
そんなこと言ってるから
お嫁さんが来ないのよ・・・! )
嗚呼、妹さくらの囁く声はどこからか
風に乗って
今にも聞こえてきそうだな
どんなに流行りの服を着ようとも
てめぇ自身という服だけは脱げねぇ
おいらはフーテン寅次郎
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