…........は/川口 掌
うず高く積まれた砂山の
水を吸いなおも輝く眩しい白に
どこからか這い登る蟻の列
崩れていく足元を超え
弛まぬ流れは頂点を過ぎて続いていく
砂の中から現れるその顔は
太陽の光を浴びて
辺りの白さに溶け込んでいく
それは工場跡地の繁みの中から
ごそごそと這い出してくる
あちらの角からは
薄汚れた野良犬が駆け出していった
生い茂る草むらの中
それが食べたものは
その日の夕飯に交じり食卓にのぼる
そこに有るものが全て
食卓にのぼり
それの そしてそれぞれの
血となり肉となり
獣は天を目指し
鳥は天を目指し
木は天を目指し
魚は天を目指す
それは見ている それぞれを見ている
それぞれは見ている それを見ている
瞳を見開き
幻の様に
現われては消える
記憶の全てを
戻る 編 削 Point(1)