世界中の誰よりもっと/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
 
 騒がしい風景は彼のもとを通り過ぎながらじっと様子を伺っていたのだが、焦れたらしく向こうの標的を探しに旅へ出た。助かった彼は一安心して一服茶屋で団子などを平らげていたが飽きてくると立ちあがり西へ西へと歩くことにした。なんでも西の方角には天狗の面がビル群をかいくぐりながら空を飛び、光線のようなものを発しているというので常人は旅を避けなくてはならなかったのだが、彼には避けられない事情があった。歩きながら、師匠の言いつけを思い出す。
 ──ヨータや、お前は数千年もわしのもとで修行に励み、イタミに耐えてがんばった。感動した!
 師匠はその時、いまさら小泉語録などを読んで感動しているらしかったが、余計な
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