PCを捨てよ 町へ出よう(2)/花形新次
うに、僕から視線を外し、店の親父に向かって
「冷、もう一杯!」と怒鳴った。
そして、今度は自分の目の前のカウンターをじっと見つめながらブツブツ独り言を
話し出した。
「ブサイクな女に、一日だけアンジェリーナ・ジョリーみたいな顔になれたら、
何がしたいですか?って聞いてごらんってんだ、もしその女が笑って答えたとしても、
それは本心じゃない、心の中じゃ泣いてんだ!」そう言うと、出されたコップ酒をまた
ぐいっとあおった。
僕は彼女が何でそんなに怒っているのか理由は分からなかったが、
彼女の気持ちは分からないでもなかった。
僕には障害を持つ一人息子がいる。自閉症という障害だ
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