乾いた声/あおば
て
炎を上げさせて
その熱で隠しておいた肉を焼く
そんな景色も見えるようだと
芋の好きなオヤジが
焚き火を熾こす
藁は無尽蔵のように集まるから
燠火はいつまでも無くならないのだと
見知らぬ人に語っている爽やかな声
家族に見せない亡父の面影
外面ばかりの気の小さい人が
鉄砲を担いで進軍する
村々を焼き払う
敵性部落を焼き払うのはマニアルで
罪の意識を排除する
恨みは互いに期限付きである
焼き払うだけだから
反抗しない限り
誰も殺したりはしない
強盗殺人ではない
昔の夜盗とは違うのだ
スマートな士官とすれ違う
一兵卒が
佐官に逆らうのは
時代錯誤だとも語る
記録されない文言が
犯罪の有無を問うが
何しろ確とした証拠がありませんから
無罪とするしかありません
乾いた声を聞きながら
ページを括る
喧嘩はもうお済みですかと
にこにこ笑いながらけりをつけた
そんな最後の4コマを思い浮かべ
時効制度を考えた
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