溺死/
愛の嗚咽
死んだ魚と目があった
雑誌越しに水槽を眺める
病院にある魚って不衛生じゃない?
私は遠くから眺める
少女が水槽を叩く
ガラスがかつかつ割れそうな音をたてた
「おさかな、しんでる」
少女の声は明るい
なのに、こぼれた言葉は皮肉にも
お前は必要とされてなかったんだよ
死んだ魚に言ってやった
だって、馬鹿じゃん
水槽なんて叩き割って逃げろ
お前が思っているより、世界は狭いから
水はないけど
溺れることはできるよ
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