a fair, brown, trembling woman/月乃助
いつか やってくると
願っていた
ゆめみた ガラスの靴
わからずに 足にすれば 先があると
いきつけると 信じていた そんな
昔話が揺らぐ あたしの
街のかたすみ靴物語り
*
心待ちしていたように
誰かが差し出すのを
数知れない人と日と夜のなかで じっとしていた
極東アジア人種のあたし
小さな港街の 白い人の巣くう王国
優しく 笑う それは、
無垢な 透きとおるガラスなんかじゃない
の に、気づいてた
つま先は、赤
まんなかは、白
踵と裏は、緑 の少女のような 色靴
何人もの女達が試した つかれに
くったりする
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