ポル・ディオス/ふくだわらまんじゅうろう
ひとりぼっちで
俺は俺の運命と出身をある意味激しく呪っていたのさ
そうさ、こんな国、大嫌いだった
誰もがどうしようもなく物足りなく見えた
自分の背中には翼さえあるように思っていた
錯覚の街角に
天使たちが
お決まりの捨て台詞で勧誘していた
求める以前に求める以上を与えられた飽食のモルモット
肥大した心の肝臓を引きずって
まるで白昼のゾンビのようにスクランブル交差点を渡る
交差する
目
目
目
誰もが迷い子だ
そしてこの俺もこの西国で
誰よりもひとりぼっちの迷い子だ
気まぐれに
街の外れの古い城跡に
瓦礫のような城壁を訪ねて
海の向こうから来る
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