一秒前/月/そして現在/夏嶋 真子
 
と呼んでいいはずだよ。
君は光とではなく、僕と向かい合っているんだから。

反論しようか、迷っていると
僕の顔を覗き込んだ君が月の唇で笑う。

今という瞬間の中に確かな存在を感じたくて
人は人に触れたくなるのかな。
 
「ねぇ、わかりやすい『現在』を思いついたの。
 目を閉じて、
 そして距離をゼロに。」



君の唇が優しく触れて
僕は目を閉じた。



君と僕の
確かな現在。





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