一秒前/月/そして現在/夏嶋 真子
 
圧倒的な星空を自由に漂っていた君は
本当は僕の話が煩わしかったのかもしれないけれど、話し続ける。

「230万年前、地上では最古の、つまりは最初の、ヒト科ヒト属の時代。」

「あの光の中で人類は誕生したの?」

「人類といっても、まだ猿人に近いけれどね。脳の容量だって僕らと比べると
 遥かに小さくて・・・」

僕の言葉に君が笑った。

「彼らとわたし達を分けるものは何? アンドロメダの前では、魂はみな同じよ。
 美しいお姫様に、直接聞いてみるといいわ。」

凛々と闇を渡る君の声。

そうだね、僕もたずねてみたいよ。
一つの魂の価値は一つの宇宙とつりあうのですか。
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