一秒前/月/そして現在/夏嶋 真子
「出かけないか。」
「どこへ?」
「過去へ。」
「タイムマシンでも発明したの?」
「まあね。真っ暗な夜があればいいんだ。」
神様は天球に宝石箱をひっくり返し、銀の砂をまいた。
六等星の星降る夜、僕らは地上にいながらにして
宇宙と闇で繋がれている。
伝達するもの、光。
過去/隣人銀河/ヒト
僕らの最初の旅は、ぺガサスの四辺形をたどって、アンドロメダ座へ。
美姫のなめらかな腹の上にかかる霞。
230万光年の彼方にある僕らの隣人銀河。
「今、僕らに届いているのは230万年前の光。」
「タイムトラベルって、そういう意味だったのね。」
圧倒
[次のページ]
戻る 編 削 Point(24)