東京少年 「国立」/虹村 凌
高校三年になった。ローザと別れてから半年近くが経っていた。相変わらず、毎朝は辛く、苦しいものだった。それどころか、日に日に酷くなっていった。
人間と言うのは、痛みと言うのはある程度耐える事が出来るが、痒みと言うのには耐える事が出来ないと思う。痛みが最初だけで慣れてしまえば大丈夫、などと言うつもりは無いが、痒みと言うものは、歯を食いしばってどうにか耐えられるものでは無いと思う。起きている間でさえ、余程の気合を見せて、何か物に八つ当たりでもしなければ耐え切る事の出来ない、猛烈な痒みを、寝ている間も耐えろというのは無理な話である。
深爪気味に指の爪を切り揃え、寝具を目の細かく柔らかい生地に
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