粘膜の輝き/花形新次
、蚊にくわれた手足を、ボリボリ掻きながら、
家に戻らなければならなかった。
ダメだったね、今日は。
仕方ないさ。
なぜ、見ることができないのかな?
なぜかな。
本当は<粘膜の輝き>なんて、とっくの昔になくなってしまったんじゃないのかな?
でも、看板はあるだろう。
きっと、意地悪な人が嘘を書いているんじゃない?
嘘を書いて誰が得をすると思う?
誰も得しない。
そうだろう。
だったら、昔<粘膜の輝き>を見た人たちが、また見たいって自分達の願いを書いたとか。
それならそれでいいじゃないか。
そうかな?
そうだよ。おまえも、その人たちと同じように願えばいいんだよ。<粘膜の
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