へのへのもへじノ胃袋 /服部 剛
 
たとえば身に覚えの無いことで 
誰かに文句を言われたならば 
(すみません)とたった一言呟けば 
事物は流れてゆくのです 

流れるものは 
流れるままに放っておいて 
この世のことには 
まるで興味が無いかのように 

そ知らぬ顔の私(わたくし)は 
「へのへのもへじ」 
の仮面を被った裏側の 
本音を開いた口の中   
鋭く研いだ二本の牙で 

日々与えられる 
経験という名の食物を 
がりり 
と噛み砕いては 
喉の奥へと、飲み込みます。  

ブラックホールの胃袋へ 




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