ましろい短冊 /
服部 剛
玩具銀行の赤い判子を押した
福沢諭吉の万札を短冊代わりに
笹の葉群に吊るします
夏の涼しい夜風が吹いて
はたはたはたはた
数え切れない諭吉さんが
笑います
時折ちらりと葉群の奥に
垣間見える
何も書かれていない
ましろい短冊がひとつ
あれが、私の願いです。
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