ましろい短冊 /服部 剛
 
玩具銀行の赤い判子を押した 
福沢諭吉の万札を短冊代わりに 
笹の葉群に吊るします 

夏の涼しい夜風が吹いて 
はたはたはたはた 
数え切れない諭吉さんが
笑います 

時折ちらりと葉群の奥に 
垣間見える 
何も書かれていない 
ましろい短冊がひとつ 

あれが、私の願いです。 



  
戻る   Point(5)