アゲハチョウの夢/あ。
 
庭先に止まったアゲハチョウの羽には
感情の全てが閉じ込められている

そのざらざらとした声色が気持ちよくて
いつまでも肌をなぞっていてほしかった
淡い空にうろこ雲がほわりと浮かび
右目の向こうには少しだけ欠けた月が



今のきみは何色をしている?



乾いた土がねじれた煙を上げる
それを合図にするかのように
知らないところへ飛んでいった

最後に泣いたのはいつだっけ
最初に笑ったのはいつだっけ
百回目の怒りの理由は何だったっけ

ひとつ、ひとつ刻まれているはずなのに
思い出して口にすることが出来なくて
何気なく流されている日常の中で
心地よいエッセンスになってたらいいな
なんて思ったりして

きみの羽とぼくの羽が
ちぐはぐに感じない色だったら嬉しい
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