初恋。思い出と呼ぶにはあまりに拙い後悔/ふくだわらまんじゅうろう
 
     初恋。思い出と呼ぶにはあまりに拙い後悔



ぼくは確かに恋をしていた
あの頃
あの頃
あの頃
この胸の裡に何度呟いても消えないこの想い
ぼくは男の子で
彼女は女の子だった
そして時代は
中途半端なアメリカ英語の発音と
友愛的なロックの薫り
彼女の黒髪はどこまでも黒く艶やかで
黒い瞳は
波ひとつない湖面の
あるいは森の静けさのように
憐れなぼくを映していた

ああ、なんて無垢な角笛の音が
ぼくらを祝福しているかのような

宿命でもなく
運命でもなく
一目惚れでもなく
それは
ぼくの人生に発生しうる
勘違いの中でも
最も甘
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