地蔵菩薩/within
 
れいにもれずパチンコ屋が開く前に朝早くから参詣したのであるが、いつもは人気のない境内に一人の僧の姿があり、その時はさほど気にも留めなかったのであるが、次の日、また次の日も僧に出くわし、こちらに気付いているのか気付いてないのかわからなかったが、こちらに振り向く様子もないので気にせずひとり手を合わせた。
店の中は空調がきいていたが空気は澱み、喧噪で内耳はつぶれるようだった。
「地獄の沙汰も金次第やね」
 と帽子を被った初老の常連が声を掛けてきた。僕は
「おごる平家は久しからず、ですよ」
と笑って返した。不思議と最近、面白いように大当たりを引き当てることができるようになっていた。
「どやった
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