銀匙の鏡 /服部 剛
 
ふいに手にした銀匙(スプーン)を 
見下ろすと 
逆さの僕が 
こちらを見上げてゐる 

銀匙に映る小さい僕と 
銀匙を持つ大きい僕の 
瞳と瞳の間を 
結ぶ 
透きとほった時管 

( そして僕等は、互いに向かって黙礼をする ) 

銀匙の中の、世界。 
日常といふ名の、夢。 




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