歓びの花 /服部 剛
 
聖堂の扉を開いて 
真中の道を進み 
祭壇の前に跪き 
両手を、合わせる 

ふと見下ろした花瓶には 
親しい家族の顔を並べる 
色とりどりの紫陽花達 

ステンドグラスから降りそそぐ 
夕陽に染まりながら 
無数の花弁を開く 
紫陽花達の賛美歌 

静けさに身を置いて 
紫陽花にいのりを重ねる 
夕暮れの刻 

まことの歓びはすでに 
私の胸の内に置かれた 
透きとおった花瓶に生けられ 
美しい花を開いていた 




戻る   Point(1)