パブリック・バス/百瀬朝子
を含んだ泡たち
一様に決められた出口へと向かって流されていきます
なんとも排他的な光景です
屋根のないところに集う裸たち
露天風呂は夜八時半までとなっております――――
肩まで湯船につかる者
半身を夜風にさらす者
誰もが湯船のふちを背にするものだから
微塵の疑問も浮かぶことなくみんなで自然に円になる
あたしたちは裸で他人同士なのに円になっているのだ
あたしはこの肉体の内に渦巻く憎悪を取り出して湯船に沈めます
沈めた憎悪はふやけてすこし可愛いくなる
この子を沈めたままで湯船を上がるのは気が引けて
こんなつもりじゃなかったのに と、幾度も
同じ過ちを繰り返してしまうのです
I know―――.
I know―――.
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