花想遊郭/愛心
 

蒼と紅が溶け合う黄昏

澱んだため池と 汚れたアスファルトを割く
目に痛いくらいの白いレールに

咲いていた

薄黒い緑手を緩やかに伸ばして

《寂しいんだ》

絡みつく

そっと触れれば
震えるように擦れる

排気ガスを吸ってるんだろう
その憂うようなピンクは
控えめな黄色は
さりげなく色づいて
淫靡なまでの彩



綺麗だよ

摘み取りたくなるほど

可愛いよ

君と『君』が重なるくらい


もうすぐ月が昇るね
君 の時間だ

ねぇ 魅せてよ

愛おしい君は
狂おしい君は

今夜はどんな蝶に
その甘い蜜を贈るの



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