酒の呑み方を考える/ふくだわらまんじゅうろう
 
     酒の呑み方を考える



田んぼに水が
入ったんだかどうなんだか
蛙の合唱を子守唄がわりに
うとうととしつつ我が生涯をなんとはなしに振り返り
いつの頃からか
我が人生を
好くも悪くも捻じ曲げてくれた
酒と女と
音楽とについて考えてみる
音楽はやめた
女も半ば
諦めた
いまだに、この
裏路地風情の人生に寄り添うのは
酒だなあ
発泡酒だが銘柄指定の
そこは頑として譲れない
銘柄指定の
酒だなあ
時にはいにしえのデカダンス
我が唯一無二の親友にして敬愛してやまないあの画家をも
中毒に貶めたほどの幻の酒の
緑色に揺らめく蘇りを悪戯に味わっ
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