蛇蝎(だかつ)/月乃助
生まれ落ちた
性(さが)なれば
求めるその時は、
すべて
毒まで飲み干さずにはいられない
入口を探し当てた
斑(まだら)の蛇は、
男の耳にからそっと這い入り
女陰に巣くう蠍は、それを心待つ
部屋の隅の壁に温もりのない甲羅と鱗が
擦れる
垂涎は毒に塗れ
絡まる
縮れた髪の陰を揺らす愉悦の臥所
窓の四角に剥ぎ取られたネオンが照らす街の駘蕩
丸い瞳が飢えた光を弾き
壁を這い上がる
シーツを握る手は忖度(そんたく)
抗う声が漏れ出る
悦の交尾の細波(さざなみ)
愉しみの泰斗
男の二股の舌が探る、
蠍の敏感な危うい突起
どこまでも
果てのない
愉楽を求め退嬰を知らぬ先に
流れていく
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