愛/ケンディ
が、
そこに母親はいませんでした。
温かいはずの布団は冷たかった。弾力を
期待していた布団のふくらみは、押し
つぶされて消えました。全てが非人間的でした。
期待していたぬくもり。期待していた肉の弾力。
その期待の崩壊は、当時のベッドの上
ならずとも、いずれ母の死とともに訪れるでしょう。
かつてのぬくもりが、白い灰になる時が
必ず来る。それは肉体だけの話では
ありません。全ての関係が白い灰になる時が
必ず来ます。
この真実を、愛と絶望が表裏一体
ということを、常に忘れぬこと。
愛の練習
きめ細かく、愛をダウンロードし、すぐに
削除する――これを絶え
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)