愛/ケンディ
 
を期待する。だがその期待は裏切られ、
ただ醜悪な物体の寄せ集めが
そこにあるだけということに気づく。
人間の顔の絵だったはずが、その絵の中には
人間など一人としていない。これは真の絶望です。
死んで腐り、原形をとどめない人間の顔を
見たときと同じ印象です。

エピソードをひとつ挙げてみましょう。
昔、鳩に餌をやり喜んでいる老婆を
見て思ったことがあります。彼女は子供に対する
母親のような愛情を発していました。
ほほえましいと思うでしょう。
だが私は、鳩の目を見て、今述べた真の絶望を
感じました。鳩には愛情を感じる
高度な脳はありません。ただ餌の出てくる所に
反射的に
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