本のみずたまり/新崎
 
「私の部屋には本の海があるの」 
それは青くて透き通る綺麗な海で
触るととっても冷たかった

浜辺に腰かけて海を見る
彼女は僕を海に誘う
少し勇気を出して飛び込む僕

中はもっと綺麗だった
魚たちが楽しげに泳いでいる
「もっと深くに行こうよ」

僕たちは深く潜る
神秘的な光景が広がる
「ねぇすごいでしょ?」

彼女から海の水を分けてもらい
こぼさぬように僕の部屋に運ぶ
そして部屋の床に水を落とす

小さなみずたまり
みずたまりを覗き込むと
彼女の部屋の海と同じ光景が

それからみずたまりをよく覗き込む
いつでもそこには神秘があって
なんだか楽しくなるんだ

小さな小さなみずたまり
部屋の隅っこにあるみずたまり
僕の「本のみずたまり」
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