逆光/ゆうと
そのひとは ぼくがきたひのつぎのあさ、ここをでていったそうだ。
そのはなしをきいて、ああそうか なんて、
ぼくはみょうに なっとくしたんだった。
そのひとと、なにをはなしたか なんて、
すっかりわすれてしまったけれど、
やさしげなこえに なきそうになって、
さいごに あくしゅをしたのだった。
ぼくは かおをあげられなかったけれど、
そのてはとてもあたたかく、あんしんして、
ぼくはしずかになきながら ねむりについたんだ。
*
ぼくは、その あたらしくきたばかりのやつと、はなしをすることにした。
あさになったら ここをでてゆくときめていたから、
できたことなのだろうと、いまになってはおもう。
なにをはなすか なんて、
なにもきめていなかったけど、
それでもぼくは くちをひらいた。
「よるがおわるまえに、きみといちどはなそう。」
*
これが、さいしょでさいごであるかもしれない。
だけど、
ぼくはさいごに 「またね」 といって、
あくしゅをしてから、ここをでたんだ。
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