逆光/ゆうと
 
そのひとは ぼくがきたひのつぎのあさ、ここをでていったそうだ。
そのはなしをきいて、ああそうか なんて、
ぼくはみょうに なっとくしたんだった。

そのひとと、なにをはなしたか なんて、
すっかりわすれてしまったけれど、
やさしげなこえに なきそうになって、
さいごに あくしゅをしたのだった。
ぼくは かおをあげられなかったけれど、
そのてはとてもあたたかく、あんしんして、
ぼくはしずかになきながら ねむりについたんだ。






ぼくは、その あたらしくきたばかりのやつと、はなしをすることにした。
あさになったら ここをでてゆくときめていたから、
できたことなのだろうと、いまになってはおもう。
なにをはなすか なんて、
なにもきめていなかったけど、
それでもぼくは くちをひらいた。


「よるがおわるまえに、きみといちどはなそう。」






これが、さいしょでさいごであるかもしれない。

だけど、
ぼくはさいごに 「またね」 といって、
あくしゅをしてから、ここをでたんだ。




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