「・・・・・restaurant」:童話/月乃助
 
めるのでした。
 メグは驚きながらも、その腕の中の温かさと、女の人の匂いにいつかそれを嗅いだことがあるような気がします。
 でもすぐに、失礼しましたと、ウェイトレスは立ち上がると、もう一度、
「ありがとうございました」そう静かに言うのでした。
「あの道はどこへいくの?」メグが尋ねるのに、
「さあ、それは、私どもには何も言われておりませんので」答えが返ってきます。
 レストランの食事は、知らぬ間にメグの心を楽にしており、
「そう、でもごちそうさまでした。ありがとう」そう、ウェートレスに言うと、にっこりと笑顔をむけました。そして、デッキの階段をとんとんと下りていきました。
 またこれからもずっと歩くのかと思うのに、メグの体はとても軽くなっていて、何か、もうすぐにその道の終わりの場所へとたどりつけそうな気がするのです。
 メグが白い道を歩き始め振り返ると、デッキで手をふるウェートレスの姿がありました。それが、ほんの少し、亡くなったお母さんのように思えるのですが、それに手を振り返すと、前を向きメグは輝く道を、元気に歩き出しているのでした。



 


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