いきるということ/中原 那由多
月光が夜と重なったということ
薄雲は照らされても変わらないということ
それを私が見上げているということ
それから、繰り返すということ
始まりが終わりであり
終わりが道をもたらしてくれた
真っ暗に輪郭が誇張された身体
ただ歩き続けた
歩き疲れることはなくて
淡々と
あれはアネモネの花ね
花弁が泣いているけども
雨は降らなかったのよ
純真無垢は罪なこと
貴女のために水は流れる
いのちが永久でないことは
分かっていたはずだった
始まりは終わりであり
終わりはまた終焉でもあった
星は廻っているということ
音は途切れないでいるということ
それから、私がこうして
この世界にいるということ
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