「カマシア」:童話/月乃助
 
んのひと時、目を閉じてくれます。すると、その香りにさそわれたのか、いっぴきのてんとう虫がやってきて、女の子の小さな鼻のさきにちょこんと止まりました。 
 えっ、と女の子は、少しおどろき、それでも、次にはにこっと笑って、
「ありがとう。そうだね、そう。幸運だってたまにはくるよね」そうつぶやきました。
 てんとう虫は、少しの間じっとしていましたが、女の子が指でふれると、仕事をおえたように、すっと飛び立って行きました。
 良かった。笑ってるわ。だいじょうぶかもね。
 花たちは、女の子の笑顔がみられて、こちらもほっとし、それでも、いつまでも女の子の姿を見つめているのでした。

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