「カマシア」:童話/月乃助
野原は、あたりいちめん紫の花のじゅうたんです。
やさしい風が、あまいかおりをはこんでいきます。
カマシアの花たちは、だれも春の日をいっぱいあびて、気持ち良さそうに顔を日にむけていました。
のんびりと春の日とそよ風を楽しみ、きらきら光の中で、そのすけるような紫色をいっそう明るく見せています。
遠くのほうで、音楽が聞こえるのは、公園の池の近くにあるバンド・ワゴンで演奏をしているのでしょう。
どこからかカマシアの花たちを分けいるように、女の子がやってきました。
その子は、花たちのまんなかにすわりこむと、ひざをかかえてしまいます。黒いまっすぐな髪をした子です。
花たちが、きゅ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)